今年はアメリカへ渡りアスレティックトレーナーを目指します。TOEFLや留学準備の毎日です。ichihara0707@gmail.com    


by ichiharatr

理想と現実の間

書くのが少し遅れましたが、先週の金曜日に日本の高校でフルタイムのアスレティックトレーナーをされている先生にお話をする機会を作って頂きました。雨が降る中でしたが、後輩Mくんも一緒に行ってきました。

「将来的に高校へアスレティックトレーナーを配置することができないか?」

もちろん、一学生の私がこんなにも大きな問題に対して、あれこれ考えをめぐらせ、現実的に何か変化を起こすことは実際に難しいことです。確かに言っていることは理想的で必要なことだと多くの人が思っている(とは言ってもトレーナー関係者ぐらい?)けど、現実的に何か動きは起こっているのか?トレーナーの世界でもなかなかそういう運動は耳に入ってこない中で、じゃあ実際のところはどうなのか?動き出すとすれば、やはり今実際に現場に入っている先生から何かアクションが起こる可能性はあるし、問題点もリアルな部分が浮かび上がってくるだろう。
今回はそんな「そうは言っても現実は・・・」という所を聞きたかったわけです。

まずは、先生の雇用体系としては完全にアスレティックトレーナーとして学校すべての生徒(特に部活動)に対してのアプローチです。契約は英語の先生が「英語」というものを使って教育を行うのと同じように、言ってみれば「Athletic Training」という科目の先生という扱いということ。

多くのことを質問する中で浮かび上がってきた問題点や現場での悩み、そしてやはり高校へアスレティックトレーナーが入ることでの変化を知ることが出来ました。

★学校独自の問題として

最も大きな問題は、怪我が起きた際に適切な対応ができる人がいないということ。
最近は養護教諭の中にも看護師の資格を持った方もいるということだが、手当はできても処置や評価ができない。特に頭頚部の怪我や骨折、脱臼など緊急時の対応ができる人がいないということ。そこに対応ができる人がただいなかったというだけで、助からなかった命は沢山あります。逆に現場で動ける人が一人いるだけで救える命もあったわけです。アスレティックトレーナーが入る意味は大いにありますね。

また、監督やコーチに怪我を重要視する姿勢がないということ。
先生も当初、顧問の先生から質問される内容は
「うまくなるにはどういうトレーニングをすればいいのか?どうやったら勝ちに近づけるのか?」
そんな質問ばかりで、怪我をした選手をいかに早く治すか。怪我が起きないようにどんなことに気をつける必要があるのか。そういった質問はなかったということ。
コーチ側に絶対的な勉強不足があるということです。
こういう考え方自体を変えることもアスレティックトレーナーができることの一つです。

★先生が働くようになって変わったことや周りの変化もたくさんあるといいます。

健康管理をすることで生徒と親への安心感が生まれるということ。
例えば、学校で怪我をしてその対応をしてもらった生徒は家に帰って、親にそのことを話すそうです。すると、学校にはそういうことができる人がいるということを認識してもらえるし、少しずつ認知度は上がっていったということ。

また、教育指導的役割も大きいということ。
例えば、部活で怪我をして戦線離脱をした生徒がいたとする。気持ちも落ち込んで、その上怪我のことを良く知らない顧問からは早くできるようになれとせがまれる。そんな中で非行に走る子も多いということ。特に強豪校や推薦で学校に入ってきた生徒には多いみたい。
そんなところでも生徒と先生のパイプ役や生徒の精神的サポートも担うことができるはずだということ。

★そんな中にも一人のアスレティックトレーナーとして考えることも。
基本的に学校すべてのサポートをしているので、一つのチームに所属しているという感覚はない。チームによっては、監督がチームの一員として登録してくれたり、ミーティングで発言を求められたりすることがあるが、疎外感を感じることも多いということ。特にそれまでどこかのチームで活動してきたトレーナーにとっては考えるところでもあるだろう。
また、WTルームにはトレーナーはいないため、ストレングストレーナーをつけられればいいが、施設つきの立場になると、余計にその疎外感は助長されるかもしれない。きた選手を毎日毎日見るというのは少し酷かもしれない。やはりチームなど長期で指導できて、成果を見られる環境を求めるのではないかということ。

そして、一番聞きたかったアスレティックトレーナーが高校へ介入していく中での課題に関して話してみました。

まずは、資格的な問題がある。予防や現場での対応、精神的なサポートなど多岐に渡って能力を発揮できるのは個人的にはやはりアスレティックトレーナーだと感じているが、日体協ATとATCが混在する日本では少し問題がでてくる。例えば、高校に配置するとした場合「絶対に日体協ATを持っていなくてはいけない!」そんな制度ができる可能性もある。ATCも同じ役割ができるはずだが、やはり組織間での問題がでてくるはずだということ。

そこに関しての一つの案として先生はライセンスのようなものを出すことを提案していた。
ATやATCの資格とは別に、学校で働くライセンスとして何かを作り、どの資格を持っていてもそこへ登録することで一貫性を持たせるということ。面白いアイデアだなと。
確かに協会ごとで何かそういう変な方向へ行く可能性も多々考えられる。

そんな日本の制度的な問題は、2006年のトレーニングジャーナルで鹿倉先生と山本先生が対談をしているので読んでみても面白い。
「アスレティックトレーナーの社会的・経済的・制度的問題について」

学校へのAT介入に関しては現時点で大きな動きはまだ起こっていないよう。
国や知事、議員へのアプローチもストレートに言っても理解されることが難しいということもあり、まずは教育委員会へのアプローチが最初になるだろう。
そして、現実問題としてはまずまだ少ない実例を多くしていくために、スポーツが強い高校の校長などへ必要性を訴えることから始りそうだ。

そして、草の根運動として一番現実的で必要になってくるのが、今学生トレーナーをやっていてATとしての知識や考えを持った人が教員になり、各学校で少しずつそういう役割を担っていくこと。これが最も重要になってくるはずである。

制度的な問題を変える上からのアプローチと現場で少しずつ広げていく下からのアプローチが双方から出来ていくといい。
自分はどうやったら大きな範囲で変えていけるのか、自分なりに動いてみようと思う。そのためには多くの同じような考えを持った人と話し、共有する必要があるし、運動として動かすことが求められる。

Blogを通してでも情報は発信できるので、少しずつやっていきたい。
ちょうど訪問させてもらった先生から以前日本でハワイ大学の先生が「ハワイ州におけるアスレティックトレーニングの歴史」というテーマで講演をした資料をもらったので、州の法律で高校へATCを配置することになったハワイについて分かる範囲で次回は少し触れてみよう。

安心して子供達が運動できる社会へ

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by ichiharatr | 2008-04-24 02:48 | Athletic Training